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板倉梓さんの「瓜を破る」2023年11月現在、1~8巻が発売中です。
⚠以下、あらずじや感想を書くにあたって多少のネタバレを含む場合もありますのでご注意ください⚠
なかなか人には言えないセックスについての悩み・仕事の悩み・同棲中の恋人との悩み・同僚との人間関係の悩み・子育ての悩み…さまざまな身近な女性の悩みをリアルに描いた漫画です。
4巻では3巻に引き続き、まい子・味園の恋、そして子育て真っ最中の染井が抱える葛藤やジレンマのお話です。
あらすじ
前半は主人公・まい子と鍵谷のお話です。
3巻ではまい子ととても良い雰囲気になったところで、突然何も言わずに帰ってしまった鍵谷でしたが、その後、まい子と気まずくなってしまったことをきっかけに『これではいけない』と一念発起します。
以前デートをしたゲームセンターで偶然顔を合わせてしまったまい子と鍵谷。
気まずさから逃げ出すまい子を雨の中、傘もささずに追いかける鍵谷。
その後、二人はまい子の部屋で話をすることになりました。
その時鍵谷は、突然帰ってしまったのは決してまい子が原因ではなく、自分の過去の問題であることを打ち明けます。
その過去とは…
3巻の最後に鍵谷の過去のエピソードがかかれていましたが、鍵谷は以前プロの棋士を目指していました。
プロ棋士になる為には条件があり、
新進棋士奨励会というプロ棋士の養成機関で満21歳の誕生日までに初段、
そして満26歳の誕生日を含むリーグ終了までに四段に昇段しなければなりません。
そんな鍵谷は23歳の時、当時12歳の藤本と対戦します。
自分より年下の相手に初めて感じる『嫌な予感』。
「自分と藤本では見えている景色が全く違うのではー?」
藤本との対戦でそう感じた鍵谷。
結局その対極で鍵谷は藤本に負けてしまいます。
「自分はプロになれないのではないか…」鍵谷は負の感情にどんどんと追い込まれていきます。
そして、プロになる為の最後のチャンスの日…
鍵谷は負の感情を拭いきれず試合に臨み、結局対戦相手に負けてしまうのでした。
そこから鍵谷はずっと将棋の話題を避けるようになっていましたが、あの日まい子の部屋で流れていたニュースでかつて対戦で負けてしまった藤本の快挙を耳にしてしまいます。
そのニュースの内容に嫉妬の感情が沸き上がってしまった鍵谷は、居ても立っても居られず、まい子の部屋から帰ってしまったのです。
その話を聞いたまい子は、鍵谷の悲しみが伝わってきて涙してしまいます。
そんなまい子を見た鍵谷は、ずっと抑えていた悲しみが爆発し、まい子の胸で泣きじゃくるのでした。
鍵谷の過去を知ったまい子、自分の感情に素直になれた鍵谷。
ここから二人は急接近していきます。
ドキドキの急展開。果たして二人の関係はどうなっていくのでしょうかーー。
話は変わって、今度は恋人を探しにタイへ向かった味園のお話です。
喧嘩の後、突然同棲していた恋人・真が姿を消してしまった味園でしたが、ささいな情報を頼りに彼を探すため単身タイへ向かいました。
タイへ到着し、7日目、帰国を前日に控えた味園でしたが、未だに真を見つけられずにいました。真へ送ったLINEの既読すらつかない状態。
親切な現地の人の協力を得て、真の行きそうな場所をいろいろと探し回った味園。
滞在最終日に『外国人観光客からも人気があるから』と、ホテルのスタッフが教えてくれたお祭りに最後の望みをかけて向かいます。
果たして真は見つかるのでしょうかーー。
後半は、結婚して子育てに奮闘する染井のお話です。
染井は主人公・まい子の会社に勤める女性です。
染井の家族構成は、染井と夫と娘1人です。
仕事と子育てを頑張って両立する中、趣味の漫画を描いたりもしています。
そんな中、子育てが少し落ち着いたので、2年ぶりのイベント・漫画の即売会に参加します。
仕事と子育てをしながら、漫画の新刊まで描いていることを仲間から褒められる染井でしたが、仲間のある一言で言葉を失ってしまいます。
『育児エッセイ漫画とかは描かないの?』
悪気なく放たれた一言でしたが、独身の頃は言われなかったこの言葉にモヤモヤする染井。
どこに行っても周りから「染井という一人の人間」ではなく「お母さん」と見られることに疑問を感じるのでした。
そんな中、夫・秀直から一本の電話が入ります。
嫌な予感を抱えつつ、恐る恐る電話に出てみると…
予感的中。
娘・日菜子が体調を崩したから帰ってきてほしいという内容でした。
アフターの飲み会に参加する予定だった染井でしたが、渋々ドタキャンをして帰宅ーー。
その夜染井は
『独身で一人暮らしの時は気楽だったーー。』
と物思いにふけって過ごします。
後日、回復した娘を保育園に送り届け、会社に着いた染井でしたが、着席すると同時に保育園からの着信がありました。
日菜子が体調を崩したから、迎えに来てほしいという内容ー。
自分の仕事を同僚に頼みに行く染井でしたが、度々起こる保育園からの呼び出しに「また?」と煙たがられてしまいます。
家族・仕事・趣味、どれも中途半端。
どこに行っても周りに迷惑をかけてしまう自分に激しく落ち込む染井。
果たして解決の糸口は見つかるのでしょうかーー。
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感想
ようやくまい子と鍵谷に進展が…ここからは目が離せません!!自分をさらけ出せる相手ってとても大切ですよね。せっかくそんな相手を見つけられた鍵谷には、勇気を出して頑張ってほしいところです!!
そして味園。
タイの人たちの優しさに触れて過ごした1週間…トゲトゲしていた彼女の心も随分と洗われて丸くなったような気がします。
きっと毎日のことに必死になって気持ちの余裕がなくなってしまっていたのでしょうね。
ある意味、自分を見つめなおす良い機会になったのではないでしょうか。
恋人も心の余裕も是非取り戻して欲しいです!
最後に染井。
染井のモヤモヤはとてもよくわかるような気がします。
それと同時に、染井の同僚の気持ちも良くわかります。
私は結婚した現在も母親ではありませんが、過去の職場の先輩が染井のような感じでした。そして私は当時独身で、いわゆる同僚側の人間。
仕事に来ても、学校や保育園からの頻繁な呼び出し…土日は仕事に出れない…。
そんな先輩に、言葉には出さずとも、嫌気がさしたこともありました。
ただ、結婚した現在は(子どもはいませんが)、家事に仕事に時間に追われる毎日。
ここに子育てが加わるのですから、さぞ大変だったろうな…と心の底から思います。
そして当時の自分の心の狭さに嫌気がさします。
ただね、これはやはり自分が同じ立場にならないと、なかなかわからないものなのです。
自分を取り巻く環境が全く違う立場の人からは共感を得るのはなかなか難しいと思います。
だから誰も責められない、みんな必死に頑張っているんですよね。
染井の葛藤…これは多くのお母様方が非常によく抱える悩みのような気がします。
これを読んで、少しでも共感して救われる方がいると良いですね。
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『瓜を破る』他の巻の感想はこちら↓
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